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一点堂
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記念貨幣古銭ストーリー2026年7月16日読了時間 約4分

天皇陛下御在位60年記念500円白銅貨幣|図柄・仕様・発行枚数

昭和61年(1986年)、昭和天皇の御在位60年を記念して発行された500円白銅貨。表は紫宸殿、裏は菊の御紋章。13.0g・直径30.0mm、発行枚数は5,000万枚。

対象貨幣: 天皇陛下御在位60年記念500円

概要

昭和61年(1986年)4月29日の天皇陛下御在位60年記念式典にあわせて発行された、額面500円の白銅貨です。表には紫宸殿、裏には菊の御紋章が描かれています。直径30.0mm・量目13.0g、発行枚数は5,000万枚で、引換えは昭和61年10月21日に始まりました。

同じ記念で10万円金貨と1万円銀貨も発行されましたが、根拠となった法律は違います。金貨・銀貨は特別の法律で発行され、500円白銅貨は当時の臨時通貨法の範囲で発行されました。

基本スペック

額面
500円
年銘
昭和61年
素材及び品位
白銅(銅750・ニッケル250)
量目
13.0g
直径
30.0mm
発行枚数
5,000万枚

天皇陛下御在位60年記念貨幣の3種

10万円金貨1万円銀貨500円白銅貨
年銘昭和61年・昭和62年昭和61年昭和61年
図柄(表)鳩:平和、水:日本の自然、稲作文化日の出:極東における日本の自然、瑞鳥等:吉祥を表現紫宸殿:陛下御即位の大礼が行われた建物
図柄(裏)菊の御紋章菊の御紋章菊の御紋章
素材及び品位金〔純金〕銀〔純銀〕白銅(銅750・ニッケル250)
直径30.0mm35.0mm30.0mm
量目20.0g20.0g13.0g
発行枚数1,000万枚(昭和61年銘)・100万枚(昭和62年銘)1,000万枚5,000万枚
引換開始日昭和61年11月10日・昭和62年5月13日昭和61年11月10日昭和61年10月21日

値と図柄の説明は財務省「記念貨幣一覧」による。

出典: [S1] 財務省

在位60年と、4月29日の記念式典

宮内庁によると、昭和天皇は明治34年4月29日に誕生され、大正15年12月25日に践祚されて第124代の天皇となられました。昭和60年12月25日からは、御在位60年目にあたります。

記念式典の日取りは、昭和60年12月27日の閣議で示されました。国会で読み上げられた閣議での発言は「明年四月二十九日(火)(天皇誕生日)に内閣が主催する記念式典を挙行する」というものです。宮内庁は、昭和51年と61年に御在位50年と御在位60年を記念する式典が行われたと記しています。

記念貨幣の発行は、御在位60年の慶祝事業の一つとして大蔵省が担当しました。同じ一覧には、郵政省の記念郵便切手や、運輸省の記念国鉄切符・記念オレンジカードも挙がっています。

出典: [S2] 宮内庁/[S3] 国立国会図書館 国会会議録検索システム

紫宸殿 — 昭和の即位礼が行われた建物

表の図柄は紫宸殿です。財務省の記念貨幣一覧は、これを「陛下御即位の大礼が行われた建物」と説明しています。宮内庁次長の国会答弁によると、昭和3年11月10日、京都御所の紫宸殿で即位礼当日紫宸殿の儀が行われ、約2,200名が参列し、天皇が高御座に上られました。裏の図柄は菊の御紋章です。

図柄を決める経過も国会で説明されています。大蔵省理財局長によると、造幣局がいくつもの案を作り、その中には天皇の肖像の案もありました。宮内庁は、肖像については大蔵省の判断で慎重に扱ってほしいと伝えています。図案は公募せず、懇談会の参加者で世界の貨幣を研究していた平山郁夫氏らの指導を受けながら、造幣局が検討しました。

出典: [S1] 財務省/[S4] 国立国会図書館 国会会議録検索システム/[S2] 宮内庁/[S3] 国立国会図書館 国会会議録検索システム

金貨・銀貨は特別の法律、500円は臨時通貨法で

当時の臨時通貨法では、500円を超える額面の貨幣を発行できませんでした。そこで政府は、東京オリンピック記念の千円銀貨の例にならって、10万円と1万円の貨幣だけを定める法律を提出しました。昭和61年4月28日に公布された「天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律」(昭和61年法律第38号)です。500円白銅貨はこの法律の対象ではなく、臨時通貨法がもともと認めていた500円以下の貨幣として発行されました。

額面と枚数の決め方も答弁されています。昭和60年12月9日に開かれた懇談会では、金貨なら10万円ぐらいの立派なものがよい、金貨とあわせて銀・白銅の記念貨幣も出すのが適当、という意見が多く出ました。合計の枚数は、御在位50年記念と同じ7,000万枚です。理財局長は、記念貨幣の7,000万枚はおよそ一世帯に二枚の計算から始まったとし、金貨1,000万枚に合わせて、銀貨1,000万枚・白銅貨5,000万枚を製造能力から逆算して決めたと説明しています。

出典: [S5] 衆議院 制定法律情報/[S6] 国立国会図書館/[S7] 国立国会図書館 国会会議録検索システム/[S3] 国立国会図書館 国会会議録検索システム/[S8] 国立国会図書館 国会会議録検索システム/[S1] 財務省

通常の500円玉との違い

日本銀行によると、通常の500円白銅貨は昭和57年(1982年)に発行が始まり、直径26.5mm・量目7.2g、縁はレタリング(文字)です。この記念500円は、素材は同じ銅750・ニッケル250の白銅ですが、直径30.0mm・量目13.0gで、通常の500円玉より大きく重く作られています。

財務省の記念貨幣一覧で、500円の記念貨幣は昭和60年の国際科学技術博覧会と内閣制度創始100周年から始まり、この御在位60年記念は3番目にあたります。

出典: [S9] 日本銀行/[S1] 財務省

同じ記念の10万円金貨と、平成2年の偽造事件

同じ記念の10万円金貨は、機会を公平にするため抽せんで引き換えられました。昭和61年銘と昭和62年銘をあわせて1,100万枚が発行されています。

平成2年1月29日、この金貨の偽造が、都内の金融機関から警視庁への申告で明らかになりました。警察庁の答弁によると、国内のコイン業者3社が昭和63年3月ごろから平成2年1月ごろまでに約10万5000枚を輸入しており、品物はスイスから持ち出されたものでした。偽造品は「御在位六十年」「昭和六十一年」の文字の部分に線状の傷があり、彫りが浅く表面の輝きが鈍いと説明されています。

この事件を受けて、平成2年の天皇陛下御即位記念10万円金貨は、量目を当初予定の20グラムから30グラムに増やすことになりました。

出典: [S10] 国立国会図書館 国会会議録検索システム/[S11] 国立国会図書館 国会会議録検索システム/[S12] 国立国会図書館 国会会議録検索システム/[S1] 財務省

収集・研究の視点

この貨幣を確かめるときは、財務省の記念貨幣一覧で図柄・素材・直径・量目・発行枚数・引換開始日を見ます。一覧には、図柄の短い説明(紫宸殿は「陛下御即位の大礼が行われた建物」)も載っています。発行の経緯は、国立国会図書館の国会会議録検索システムで、昭和61年4月の衆議院・参議院の大蔵委員会の議事録を読むと追えます。

通常の500円白銅貨と並べると、大きさ(26.5mmと30.0mm)・重さ(7.2gと13.0g)・縁(レタリングとギザ)の違いがはっきり分かります。通常の500円の仕様は日本銀行の頁に載っています。

同じ記念の1万円銀貨については、財務省が平成25年・平成28年・令和7年に、偽造品が見つかったとして注意を呼びかけています。記念貨幣は今も額面で使えますが、自動販売機などでは使えないことがあり、財務省は金融機関の窓口での引換えを案内しています。

出典: [S1] 財務省/[S9] 日本銀行/[S13] 財務省/[S14] 財務省(よくあるご質問)

資料で確認できていないこと

  • 500円白銅貨の引換えの具体的な方法(抽せんの答弁は10万円金貨についてのもの)
  • 図柄が決まった日・発表された日、紫宸殿を選んだ理由、図案の作者
  • 記念式典の会場(政府側の答弁では確認できなかった)
  • 昭和62年銘の10万円金貨の枚数が100万枚になった経緯
  • 偽造事件の犯人の検挙・処分の結果

まとめ

編集部のまとめ

天皇陛下御在位60年記念500円白銅貨は、昭和61年4月29日の記念式典にあわせて発行された、直径30.0mm・量目13.0gの白銅貨です。表の紫宸殿は、昭和3年に昭和天皇の即位礼が行われた建物です。同じ記念の金貨・銀貨が特別の法律で発行されたのに対し、500円は臨時通貨法の範囲で発行され、合計7,000万枚のうち5,000万枚を占めました。

同じ記念の3種は天皇陛下御在位60年記念貨幣で紹介しています。

出典

  1. [S1]財務省「記念貨幣一覧(2026.9.11現在)」 PDF 1〜2頁(天皇陛下御在位60年ほか) https://www.mof.go.jp/policy/currency/coin/commemorative_coin/kinenkaitiran.pdf(2026-10-10 確認)
  2. [S2]宮内庁「昭和天皇・香淳皇后」 本文・ご略歴 https://www.kunaicho.go.jp/learn/about/history/history11.html(2026-10-11 確認)
  3. [S3]国立国会図書館 国会会議録検索システム「衆議院 大蔵委員会 第15号(昭和61年4月18日)」 発言番号 2・22・30・32・57・68・90・100 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110404629X01519860418(2026-10-11 確認)
  4. [S4]国立国会図書館 国会会議録検索システム「衆議院 内閣委員会 第3号(平成2年4月17日)」 発言番号 15(宮内庁次長) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/111804889X00319900417/15(2026-10-11 確認)
  5. [S5]衆議院 制定法律情報「天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律(昭和61年法律第38号)」 第1条〜第3条 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/10419860428038.htm(2026-10-11 確認)
  6. [S6]国立国会図書館「日本法令索引「天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律」」 法令の情報・法案の情報 https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?lawId=0000073048(2026-10-11 確認)
  7. [S7]国立国会図書館 国会会議録検索システム「参議院 大蔵委員会 第9号(昭和61年4月23日)」 発言番号 7(提案理由) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110414629X00919860423/7(2026-10-11 確認)
  8. [S8]国立国会図書館 国会会議録検索システム「参議院 大蔵委員会 第10号(昭和61年4月24日)」 発言番号 9・41 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110414629X01019860424(2026-10-11 確認)
  9. [S9]日本銀行「500円貨(白銅)」 本文 https://www.boj.or.jp/note_tfjgs/note/valid/past_issue/pcoin_500.htm(2026-10-11 確認)
  10. [S10]国立国会図書館 国会会議録検索システム「衆議院 大蔵委員会 第5号(昭和62年5月13日)ほか」 発言番号 50 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/110804629X00519870513/50(2026-10-11 確認)
  11. [S11]国立国会図書館 国会会議録検索システム「衆議院 予算委員会 第4号(平成2年4月3日)」 発言番号 143・147 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/111805261X00419900403(2026-10-11 確認)
  12. [S12]国立国会図書館 国会会議録検索システム「参議院 大蔵委員会 第5号(平成2年6月1日)・衆議院 大蔵委員会 第3号(平成3年2月13日)ほか」 発言番号 263(平成2年6月1日)ほか https://kokkai.ndl.go.jp/txt/111814629X00519900601/263(2026-10-11 確認)
  13. [S13]財務省「偽造1万円銀貨幣が発見されました(平成25年12月3日・平成28年12月26日・令和7年12月25日)」 令和7年12月25日の発表(平成25年12月3日・平成28年12月26日の発表も同じ頁群) https://www.mof.go.jp/policy/currency/fake_money/10000yen/20251225.htm(2026-10-11 確認)
  14. [S14]財務省(よくあるご質問)「過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか」 答 https://www.mof.go.jp/faq/currency/07ai.htm(2026-10-11 確認)
Tags#記念貨幣#天皇陛下御在位60年#500円#白銅貨#昭和

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