平成2年 天皇陛下御即位記念500円白銅貨幣|図柄と仕様
即位礼正殿の儀(平成2年11月12日)を記念した500円白銅貨。表は特別御料儀装車、裏は菊の御紋と束帯の紋様。13.0g・直径30.0mm、発行枚数は3,000万枚。令和の御即位記念貨幣との違いも記します。
対象貨幣: 天皇陛下御即位記念500円白銅貨
概要
平成2年(1990年)11月12日の即位礼正殿の儀を記念して発行された、額面500円の白銅貨です。表に特別御料儀装車、裏に菊の御紋と束帯の紋様が描かれています。直径30.0mm・量目13.0g、発行枚数は3,000万枚で、引換えは正殿の儀の4日前の平成2年11月8日に始まりました。
同じ記念で発行された10万円金貨は特別の法律によるものですが、この500円白銅貨は通常の法律と政令の枠の中で発行されました。発行枚数は、昭和の御在位60年記念500円(5,000万枚)より少なく決められています。
基本スペック
- 額面
- 500円
- 年銘
- 平成2年
- 素材及び品位
- 白銅(銅750・ニッケル250)
- 量目
- 13.0g
- 直径
- 30.0mm
- 発行枚数
- 3,000万枚
天皇の記念行事の500円記念貨幣(昭和・平成・令和)
| 天皇陛下御在位60年 | 天皇陛下御即位(平成) | 天皇陛下御即位(令和) | |
|---|---|---|---|
| 年銘 | 昭和61年 | 平成2年 | 令和元年 |
| 図柄(表) | 紫宸殿 | 特別御料儀装車 | 高御座 |
| 図柄(裏) | 菊の御紋章 | 菊の御紋と束帯の紋様 | 菊花紋章と梓とハマナス |
| 素材 | 白銅 | 白銅 | ニッケル黄銅、白銅及び銅 |
| 直径 | 30.0mm | 30.0mm | 26.5mm |
| 量目 | 13.0g | 13.0g | 7.1g |
| 発行枚数 | 5,000万枚 | 3,000万枚 | 500万枚 |
| 引換開始日 | 昭和61年10月21日 | 平成2年11月8日 | 令和元年10月18日 |
値は財務省「記念貨幣一覧」による。
出典: [S1] 財務省
即位礼正殿の儀と祝賀御列の儀
昭和64年(1989年)1月7日、昭和天皇の崩御に伴い、皇太子明仁親王(現在の上皇陛下)が皇位を継承されました。即位を内外に示す即位礼正殿の儀は、平成2年11月12日に宮殿で行われ、宮内庁の記録では158か国の元首・祝賀使節などおよそ2,200名が参列しました。
正殿の儀に続いて行われたのが祝賀御列の儀です。宮内庁は、即位を広く国民に披露し祝福を受けるための御列と説明しています。宮殿から赤坂御所までの沿道には約11万7000名が集まりました。正殿の儀と祝賀御列の儀は、いずれも国事行為として行われています。
この500円白銅貨の引換開始日は平成2年11月8日で、正殿の儀の4日前でした。
図柄 — 特別御料儀装車と、束帯の紋様
表の図柄は特別御料儀装車です。財務省の記念貨幣一覧は、これを「皇室の御車でパレード等に使われたもの」と説明しています。
裏の図柄は菊の御紋と束帯の紋様です。一覧の説明では、菊は皇室の御紋で、束帯の紋様からは桐竹を描いています。束帯について、宮内庁次長は平成2年の国会で、平安時代に完成した儀式服だと説明しています。
なお、鳳凰が描かれているのは同じ記念の10万円金貨のほうで、金貨の表は「鳳凰と瑞雲」です。
発行のしくみ — 金貨は特別の法律、500円は政令
記念貨幣は、国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行される貨幣だと、大蔵省理財局長は平成2年の国会で説明しています。発行するかどうかに明確な基準があらかじめ設けられているわけではない、とも述べています。
同じ記念の10万円金貨は、記念貨幣の額面の上限(1万円)を超えるため特別の法律で発行されました。一方、理財局長は、500円白銅貨はその法律によるものではなく、通常の貨幣の法律に基づいて発行すると答えています。素材・量目・発行枚数は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行令」に書かれており、発行枚数は3,000万枚です。
枚数について、理財局長は、日本の記念貨幣は広く行き渡ることを重視して多くの枚数を発行してきたものの、諸外国の例より一けたも二けたも多いと述べ、昭和の御在位60年の5,000万枚から3,000万枚にしたと説明しています。
令和の御即位記念貨幣との違い
上皇陛下は平成31年(2019年)4月30日に退位され、天皇陛下が令和元年5月1日に即位されました。令和の即位礼正殿の儀は令和元年10月22日で、このときも記念貨幣が発行されています。
令和の500円貨幣は、表が高御座、裏が菊花紋章と梓とハマナスです。素材は一覧の表記で「ニッケル黄銅、白銅及び銅」、直径26.5mm・量目7.1g、発行枚数は500万枚、引換開始は令和元年10月18日でした。平成の500円白銅貨とは、大きさ・素材・枚数がいずれも違います。
金貨では、平成の10万円金貨と令和の1万円金貨の表が、どちらも「鳳凰と瑞雲」です。
収集・研究の視点
この貨幣を確かめるときは、財務省の記念貨幣一覧で図柄・素材・直径・量目・発行枚数を見ます。一覧には図柄の短い説明(特別御料儀装車は「皇室の御車でパレード等に使われたもの」)も載っています。素材と枚数の根拠は、e-Gov 法令検索の「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行令」の別表にあります。
同じ天皇の記念行事の500円記念貨幣を並べると、昭和の御在位60年と平成の御即位は同じ直径30.0mm・量目13.0gの白銅貨で、令和の御即位は直径26.5mm・量目7.1gです。枚数は5,000万枚・3,000万枚・500万枚と減っています。
記念貨幣は今も額面で使えますが、素材や大きさが通常の貨幣と違うため、自動販売機などでは使えないことがあります。財務省は、銀行などの金融機関の窓口で通常の貨幣と引き換えるよう案内しています。
出典: [S1] 財務省/[S6] e-Gov 法令検索/[S8] 財務省(よくあるご質問)
資料で確認できていないこと
- 表に描かれた特別御料儀装車が、平成2年11月12日の祝賀御列の儀で実際に使われた車両かどうか(宮内庁の資料・国会会議録に記述が見つからなかった)
- 裏の「束帯の紋様」が、天皇が儀式で着用する黄櫨染御袍の紋様を写したものかどうか
- この500円白銅貨を加えた施行令の改正(政令)の番号と公布日
- 引換えの具体的な方法と、図案の作者
まとめ
編集部のまとめ
平成の天皇陛下御即位記念500円白銅貨は、即位礼正殿の儀の4日前に引換えが始まった、白銅・直径30.0mm・量目13.0gの記念貨幣です。表の特別御料儀装車と裏の束帯の紋様は、財務省の一覧の説明とともに読むと意味が分かります。同じ記念の金貨が特別の法律で発行されたのに対し、500円は政令で枚数が定められ、昭和の御在位60年より少ない3,000万枚とされました。
同じ記念の10万円金貨については天皇陛下御即位記念貨幣で紹介しています。
出典
- [S1]財務省「記念貨幣一覧(2026.9.11現在)」 PDF 2頁(天皇陛下御在位60年)・3頁(天皇陛下御即位・平成)・33〜34頁(天皇陛下御即位・令和) https://www.mof.go.jp/policy/currency/coin/commemorative_coin/kinenkaitiran.pdf(2026-10-10 確認)
- [S2]宮内庁「記録でみるご即位20年のお歩み「ご即位・大礼」「ご即位・大礼の主な儀式・行事」」 本文 https://www.kunaicho.go.jp/20years/20kiroku/sokui.html(2026-10-11 確認)
- [S3]宮内庁「天皇皇后両陛下の平成御大礼時の御日程について(宮内庁作成資料2)」 2頁 https://www.kunaicho.go.jp/kunaicho/shiryo/pdf/shikitenjyunbi-2-shiryo2.pdf(2026-10-11 確認)
- [S4]国立国会図書館 国会会議録検索システム「衆議院 内閣委員会 第4号(平成2年4月19日)」 発言番号 24(宮内庁次長) https://kokkai.ndl.go.jp/txt/111804889X00419900419/24(2026-10-11 確認)
- [S5]国立国会図書館 国会会議録検索システム「衆議院 大蔵委員会 第11号(平成2年5月24日)」 発言番号 2・40・48・52・60 https://kokkai.ndl.go.jp/txt/111804629X01119900524(2026-10-11 確認)
- [S6]e-Gov 法令検索「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律・同法施行令」 施行令 別表第一 第十一号・別表第三 第五号(現行の条文) https://laws.e-gov.go.jp/law/363CO0000000050(2026-10-11 確認)
- [S7]宮内庁「上皇上皇后両陛下 ご略歴」 ご略歴 https://www.kunaicho.go.jp/about/history/history01.html(2026-10-11 確認)
- [S8]財務省(よくあるご質問)「過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか」 答 https://www.mof.go.jp/faq/currency/07ai.htm(2026-10-11 確認)
- [S9]宮内庁「天皇ご一家 ご略歴」 ご略歴(ご即位) https://www.kunaicho.go.jp/about/history/history03.html(2026-10-11 確認)
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