長野オリンピック記念5,000円銀貨|3種類の図柄と発行記録
長野オリンピック冬季競技大会を記念し、3次に分けて発行された5,000円銀貨。表はアイスホッケー・バイアスロン・パラリンピック・アルペンスキー、裏はかもしか。銀合金(銀925・銅75)・15.0g・直径30.0mm、各500万枚。
対象貨幣: 長野オリンピック記念5000円銀貨
概要
1998年の長野オリンピック冬季競技大会を記念して、第1次から第3次まで3回に分けて発行された額面5,000円の銀貨です。表の図柄はアイスホッケー・バイアスロン・パラリンピック・アルペンスキー、裏は3種とも長野県の県獣のかもしかです。銀合金(銀925・銅75)・量目15.0g・直径30.0mmで、各500万枚が額面で引き換えられました。
第3次の「パラリンピック・アルペンスキー」は、財務省の記念貨幣一覧で、パラリンピックの競技を図柄にした最初の記念貨幣です。
基本スペック
- 額面
- 5,000円
- 年銘
- 平成9年(第1次・第2次)・平成10年(第3次)
- 素材及び品位
- 銀合金(銀925・銅75)
- 量目
- 15.0g
- 直径
- 30.0mm
- 発行枚数
- 各500万枚(3種)
長野オリンピック記念5,000円銀貨の3種と、東京1964の千円銀貨
| 第1次 | 第2次 | 第3次 | (参考)東京オリンピック 千円銀貨 | |
|---|---|---|---|---|
| 年銘 | 平成9年 | 平成9年 | 平成10年 | 昭和39年 |
| 額面 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 | 1,000円 |
| 図柄(表) | アイスホッケー | バイアスロン | パラリンピック・アルペンスキー | 富士山と国花の桜 |
| 図柄(裏) | かもしか(長野県の県獣) | かもしか(長野県の県獣) | かもしか(長野県の県獣) | 桜と五輪マークに算用数字1000 |
| 素材 | 銀合金(銀925・銅75) | 銀合金(銀925・銅75) | 銀合金(銀925・銅75) | 銀合金(銀925・銅75) |
| 直径・量目 | 30.0mm・15.0g | 30.0mm・15.0g | 30.0mm・15.0g | 35.0mm・20.0g |
| 発行枚数 | 500万枚 | 500万枚 | 500万枚 | 1,500万枚 |
| 引換開始日 | 平成9年2月7日 | 平成9年8月7日 | 平成10年2月2日 | 昭和39年10月2日 |
値と図柄の説明は財務省「記念貨幣一覧」による。
出典: [S1] 財務省
大会のちょうど1年前から — 3回の引換え
日本オリンピック委員会(JOC)によると、第18回オリンピック冬季競技大会(1998/長野)は1998年2月7日から22日までの16日間、7競技・68種目で行われました。
財務省の記念貨幣一覧によると、5,000円銀貨の引換開始日は、第1次が平成9年2月7日、第2次が平成9年8月7日、第3次が平成10年2月2日です。第1次は開会のちょうど1年前、第3次は開会の5日前にあたります。年銘は第1次・第2次が平成9年、第3次が平成10年です。
同じ大会の1万円金貨は販売価格で販売されましたが、5,000円銀貨の行には販売価格の記載がなく、額面と引換開始日だけが書かれています。
パラリンピック・アルペンスキー — 一覧で最初のパラリンピックの図柄
第3次の表の図柄は「パラリンピック・アルペンスキー」です。財務省の記念貨幣一覧を最初の行から見ると、パラリンピックの競技が記念貨幣の図柄になったのは、この銀貨が最初です。ただし、記念行事の欄は「長野オリンピック冬季競技大会」で、パラリンピックの名は入っていません。
日本パラスポーツ協会によると、長野1998パラリンピックは1998年3月5日に開会し、3月14日に閉会しました。31か国から571名の選手が参加し、アルペンスキー・クロスカントリースキー・バイアスロン・アイススレッジホッケー・アイススレッジスピードレースの5競技が行われています。同協会は、ヨーロッパ以外で初めて開催された冬季パラリンピックだったと記しています。
第3次の銀貨の引換開始日(平成10年2月2日)は、パラリンピックの開会の31日前でした。
裏のかもしか — 県獣と特別天然記念物
裏の図柄は、3種とも「かもしか(長野県の県獣)」です。長野県によると、県の鳥・獣・木・花は昭和41年(1966年)に県民の投票をもとに決められ、県の獣はカモシカが5,256票で選ばれました(2位はリスの1,300票)。
文化庁の国指定文化財等データベースでは、カモシカは1934年5月1日に天然記念物、1955年2月15日に特別天然記念物に指定されています。指定の説明には「本邦特有の動物として極めて貴重なもの」とあります。
同じ大会の1万円金貨の裏は県花のりんどう、500円白銅貨の裏は県鳥のらいちょうで、額面ごとに長野県の別のシンボルが描かれています。
オリンピックの記念銀貨 — 東京1964の千円銀貨と比べる
日本で最初の記念貨幣は、昭和39年の東京オリンピックのときに発行されました。財務省は、記念貨幣は東京オリンピック記念千円銀貨幣以降のもので、それ以前のものは無いとしています。
一覧によると、東京の千円銀貨は銀合金(銀925・銅75)で、直径35.0mm・量目20.0g、発行枚数は1,500万枚でした。長野の5,000円銀貨は同じ銀925・銅75の銀合金で、直径30.0mm・量目15.0g、各500万枚です。額面は5倍ですが、長野の銀貨のほうが小さく軽く作られています。
収集・研究の視点
この銀貨を調べるときは、財務省の記念貨幣一覧の長野オリンピックの行を見ます。銀貨の行は額面と引換開始日だけで、金貨の行(販売価格と販売申込期間)とは書き方が違います。素材・量目・直径は「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行令」の別表第一に、発行枚数は別表第三に「五千円の記念貨幣 千五百万枚」(3次分の合計)として載っています。
今の施行令の別表第四には、表面に光沢を持たせた長野の5,000円と500円を1枚ずつ組み入れたものの価額が11,723円、金貨・銀貨・白銅貨の3枚の組が48,932円として載っています。今の条文で、平成9〜10年当時の文言は確認できていません。
図柄の背景は、長野県の「県のシンボル」の頁、文化庁の国指定文化財等データベース、日本パラスポーツ協会の大会の記録で確かめられます。記念貨幣は今も額面で使えますが、自動販売機などでは使えないことがあり、財務省は金融機関の窓口での引換えを案内しています。
出典: [S1] 財務省/[S7] e-Gov 法令検索/[S4] 長野県/[S5] 文化庁/[S3] 日本パラスポーツ協会/[S6] 財務省(よくあるご質問)
資料で確認できていないこと
- 記念行事の名前にパラリンピックが入っていない理由
- 表の競技の図柄の選び方
- 引換えの具体的な方法と、引き換えられた枚数
- 長野の銀貨を加えた施行令の改正(政令)の特定
まとめ
編集部のまとめ
長野オリンピック記念5,000円銀貨は、大会のちょうど1年前から3回に分けて額面で引き換えられた銀貨です。第3次の「パラリンピック・アルペンスキー」は、財務省の記念貨幣一覧で初めてパラリンピックの競技を描いた図柄で、裏のかもしかは県民投票で選ばれた県獣であり、国の特別天然記念物でもあります。
同じ大会の記念貨幣全体は長野オリンピック冬季競技大会記念貨幣で紹介しています。
出典
- [S1]財務省「記念貨幣一覧(2026.9.11現在)」 PDF 1頁(東京オリンピック)・5〜6頁(長野オリンピック冬季競技大会) https://www.mof.go.jp/policy/currency/coin/commemorative_coin/kinenkaitiran.pdf(2026-10-10 確認)
- [S2]日本オリンピック委員会「長野1998冬季(大会概要)」 大会概要 https://www.joc.or.jp/games/olympic/nagano/(2026-10-11 確認)
- [S3]日本パラスポーツ協会「長野1998パラリンピック」 大会の概要・特記事項 https://www.parasports.or.jp/paralympic/what/nagano1998.html(2026-10-11 確認)
- [S4]長野県「県のシンボル」 県のシンボル3・4 https://www.pref.nagano.lg.jp/koho/kids/menu01/symbol01.html(2026-10-11 確認)
- [S5]文化庁「国指定文化財等データベース「カモシカ」」 指定年月日・解説 https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/401/3107(2026-10-11 確認)
- [S6]財務省(よくあるご質問)「過去に発行された記念貨幣は、現在でもお金として使えますか」 答 https://www.mof.go.jp/faq/currency/07ai.htm(2026-10-11 確認)
- [S7]e-Gov 法令検索「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律施行令」 別表第一・別表第三・別表第四(現行の条文) https://laws.e-gov.go.jp/law/363CO0000000050(2026-10-11 確認)
関連ストーリー
長野オリンピック記念1万円金貨|第1〜3次の図柄と仕様
長野オリンピック冬季競技大会を記念し、3次に分けて発行された1万円金貨。表はジャンプ・フィギュアスケート・スピードスケート、裏はりんどう。純金・15.6g・直径26.0mm、各5.5万枚。
古銭ストーリー平成2年 天皇陛下御即位記念500円白銅貨幣|図柄と仕様
即位礼正殿の儀(平成2年11月12日)を記念した500円白銅貨。表は特別御料儀装車、裏は菊の御紋と束帯の紋様。13.0g・直径30.0mm、発行枚数は3,000万枚。令和の御即位記念貨幣との違いも記します。
古銭ストーリー天皇陛下御在位60年記念500円白銅貨幣|図柄・仕様・発行枚数
昭和61年(1986年)、昭和天皇の御在位60年を記念して発行された500円白銅貨。表は紫宸殿、裏は菊の御紋章。13.0g・直径30.0mm、発行枚数は5,000万枚。
Dealers
この古銭カテゴリを扱う業者
売却や査定を検討する際の参考に。いずれも実績のある貨幣商・オークションハウスです。